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朝鮮学校。 日本人にも、韓国人にもなじみのない言葉、朝鮮学校。北朝鮮学校ではなく、朝鮮学校。でも北朝鮮から一部支援をもらっているので、どっちかというと北朝鮮学校に近い、と言うしかない。でも実際は「朝鮮語」と「朝鮮伝統文化」を習うための学校であって、「北朝鮮語」と「北朝鮮文化」のためではない。従って、学校の名前も「北朝鮮学校」ではなく、「朝鮮学校」なわけだ。 戦後、日本にいた「朝鮮人」は約200万人だったという。そのうち約140万人が「朝鮮半島」にもどり、約60万人が日本に残った。朝鮮半島に戻るために「韓国籍」か「北朝鮮籍」かを選択しなければいけなったのは、祖国の分断を認めたくない人々には辛いことだっただろう。そこに、1948年韓国済州島の4・3虐殺事件から逃げてきた韓国人も沢山いた。 やっと日本統治時代が終わり、「朝鮮の名前」が、「朝鮮語」が使えるようになったが、民族学校を持つのはものすごく大変だったという。GHQが民族教育を認めなかったからだった。GHQ・日本からの朝鮮学校閉鎖令にもかかわらず、朝鮮語学習への暑い熱望は消えなかった。35年間失われた言葉を再び失われるわけにはいかなかったはず。 朝鮮学校の始まりは朝鮮語教室である。戦後の韓国は日本の朝鮮語教室に興味を持たなかった。結局北朝鮮の支援で、朝鮮学校が設立された。(現在の支援がどれくらいの規模なのかはわからない) 「朝鮮学校」の存在は韓国にも殆んど知られていない。パルゲンイ(アカ)コンプレックスの影響もあるが、そもそも韓国政府は、韓国人は植民地時代に関するすべてのことに無関心のように見える。2006年、キム・ミョンジュン監督が北海道朝鮮初中高級学校で撮ったドキュメンタリー「ウリハッキョ(我々の学校)」の大ヒットで韓国でも少し朝鮮学校が知られた。 ウリハッキョ。我々の学校。「在日朝鮮人」は朝鮮時代に国から離れて来てるため、厳密に言うと韓国人でも北朝鮮人でもない。言葉の呼び方も、「韓国語」と言ってしまえば「韓国の言語」と意味が限定される、「朝鮮語」は北朝鮮のイメージが強い、ということで「ウリマル(我々の言葉)」がよく使われている。そして「ハングル」という文字は北も南も同じなので、「ハングル」と呼ぶこともある。 ちなみに、「北朝鮮」のことは韓国では「北韓」と呼び、「韓国」のことは北朝鮮では「南朝鮮」と呼ぶ。ヨーロッパ言語では「南コリア」「北コリア」と呼び、コリアというのは朝鮮の以前の国である「高麗」を意味する。(そう、高麗人参の歴史は長い。)歴史が複雑な分、用語も、その下に隠れている意味も複雑なのである。 韓国人として韓国で生まれた私が現状を理解するには限界があるだろう。私にはハングルも伝統文化も、すべてが当たり前のことだったので、苦労してそれを習いたいという気持ちは正直分からない。民族という概念も、今の時代では昔ばなしみたいなもんだと思っている。ただ、日本の現実を生きている朝鮮学校の皆さんをすごく尊敬している。 最近の朝鮮半島平和ムードを誰より喜んでいるのは在日コリアンのはずだ。いつか南と北が協力して、全世界にコリアンの言語・文化教育施設を立ててほしい。だれでもハングルの勉強がしたい人を、朝鮮だけじゃなくて韓国・北朝鮮の文化に興味がある人を対象にすればいいのだ。 そこに国籍とか、民族とか思想とかはもう重要ではない。