ねこ
猫の名前は「ねこ」だった。私は彼を普通名詞としての「ねこ」と呼んでいて、使いたい言語によって「コヤンイ(韓国語)」、「キティ(英語)」「ネコ(日本語)」など、気まぐれな呼び方をしていたが、私がどんな言語で彼を呼んでも、彼はいつも自分が呼ばれていることを確実に認識していた。 ねこは猫科猫属の代表であり、象徴でもあった。彼は猫という動物を、ニャーという鳴き声を、柔らかい毛を、暖かいぬくもりを意味した。彼は「ねこ」以外の名前で呼ばれることができないくらい、猫だった。彼を「モモ」とか「ミミ」みたいな名前で呼ぶことはできなかった。 ねこは太っていて、世界で一番愛しくて、毎日ではないけど出迎えと見送りをしてくれて、いつもどこかにかくれんぼをしていて、それでも「ねこちゃん」と呼んだら寝ぼけた顔で必ず出てきてくれて、たまには爪でジーンズをボロボロにしたり、私のお腹の上でゴロゴロしたり、尿路結石になったり、蚊を殺したり、単ボールに入っていたり、信じられないくらい早いスピードで舌を動かして水を飲んだり、前足で私を殴ったり、私の瞳をじっと見つめていてくれたり、顔を近づけると鼻のチューをしてくれたり、そして、死んだりした。